口唇口蓋裂センター
口唇裂の最後の仕上げの手術を専門としております
口唇裂の手術は通常小学生頃までに大体の手術が終了しますが、その後顔の大きさや形ができあがってから最後の修正術が行われます。しかし一言に修正術と言っても元々の口唇口蓋裂の重症度によって、また初めに受けた手術の結果などにより一度では終わらず数回の手術が必要なこともあります。このためいろいろな手術方法や初回手術を行った先生のやり方などさまざまな知識が必要とされ、簡単ではありません。
傷跡の修正ばかりでなく唇の形や鼻の左右対称性を得るのも重要で、それらの変形に対してどのような方法を用いるのかが難しいところです。
形成外科と美容外科、口唇裂修正手術と美容外科との関連
美容外科は国の指定する標榜科にはなっていますが、元々は形成外科の一分野です。形成外科医には美容外科も含めたトレーニングがある程度なされておりますが、この口唇裂の修正手術は長い経験と美的感覚も重要な要素となってきます。
形成外科は本来あるべき形態が何らかの原因によって損なわれた時に、できるだけ元の状態、形態に復元することが目的ですが、その先にあるものは当然美的にも満足される様に復元しなければなりません。
美容外科は元々ある形態が美的観点から不満足であったり、またバランスが取れていなかったりした時に美的に改善する医学であり、その美的評価は誰でも納得するものでなければなりません。いわゆるその人個人の美的感覚による美はしばしば他の人から理解されないことがありますが、医師である形成外科医は誰でも理解でき納得できる美に近づけることが責務であります。
この様な観点から、口唇口蓋裂の患者さんに対しては傷跡や左右のバランスの改善が大事ですが、その先には本人の希望があればより美的に改善することも必要になってきます。口唇に傷がある場合、相手の視線を他の部分、例えば眼の方に持って行くように綺麗な二重を作ることもありますし、低い鼻筋をもっと高くしてより美的にしたりもします。
当センターでは口唇口蓋裂の患者さんに対しては原則として保険診療で行っておりますので、口唇の傷跡を修正したり鼻の左右差を改善したりする手術は全身麻酔にて安全に行っております。しかし、唇とは関係ない二重まぶたの手術やシリコンプロテーゼを使用した隆鼻術などはいわゆる美容外科手術となり、自費診療となります。
今まで治療を受けてきた大学病院などでこれ以上の改善は難しいと言われ治療を打ち切られたが、傷跡も含めて唇や鼻の形がどうしても気になると思って悩んでいる方はぜひ一度来院して相談を受けてください。
また仕事や子育てなどで忙しくて今まで修正手術を受けられなかったが、やっと手術を受ける余裕や時間ができたという方も気楽に受診して、改善可能な部分を相談してください。
口唇口蓋裂センターについて
口唇口蓋裂は、審美上の問題だけでなく、哺乳・咀嚼・嚥下、発音・構音に影響をおよぼし、歯の欠損や歯並びが悪くなる、また中耳炎にかかりやすいなど、様々な問題が生じることのある病気です。
当センターでは、口唇口蓋裂の第一人者であり、昭和大学形成外科主任教授として長年にわたって形成外科・美容外科診療にたずさわってきた保阪善昭名誉教授をセンター長として迎え、手術をはじめ症例によっては関係する診療科とも連携しながら総合的な治療を提供しております。
口唇口蓋裂センターで診る病気
- 口唇裂
- 口蓋裂の初回手術及び二次修正術
- 口唇口蓋裂に付随する各種の外表異常に対しての治療
治療の進め方
口唇裂の二次修正手術
口唇口蓋裂の患者さんは症状の程度によって数回の手術が必要となってきます。
当センターは口唇口蓋裂の最終治療センターとして、他院での治療がすでに終了した後でも、社会人となる前にもう一度気になるところを治しておきたいと考えている患者さんを積極的に受け入れ、種々の高度な治療技術を使って治療を行います。その場合、口唇や鼻のどの変形をもう少し治したいと考えているのかを本人や家族も交えて十分に検討し、可能な治療法や時期について相談します。
また、口蓋の穴や傷跡によって動きが悪く上手く発声ができないような方もその症状を診て改善できると思われた場合には積極的に治療します。
これ以上は無理と言われた患者さんもぜひ一度ご相談ください。
※治療にかかる費用については患者さんの症状により異なりますので、受診の上でご相談ください。
診療内容と特色
口唇裂
当院では、直線法+小三角弁(保阪法)を用いて術後の瘢痕ができるだけ細く自然な形になるように心がけております。鼻翼、鼻孔の左右差についても対称性を得るため鼻翼軟骨のつり上げ固定や耳介軟骨移植を用いて治療しております。
口蓋裂
再度口蓋を後退させる方法や、咽頭弁法を用いて治療いたします。また、口蓋廔孔についても閉鎖術を行います。
顔面裂
種々の傷あとをきれいにするばかりでなく、くぼんだところには人工骨の移植を行い、平坦にする方法も用いております。
巨口症
術後の瘢痕はできるだけ短く、目立たなくなる方法を用いていますが、口唇の動きも正常になるように心がけております。
顔面骨変形
上下顎の発育不全または過成長に対してはできるだけ正常な形となるように手術的な治療を行います。これには歯科矯正科との連携により長期間を要することもあります。また、人工骨を陥凹部に充填することによって見た目にも正常に近くなるよう心がけております。
症例画像
口唇裂
スタッフ紹介
保阪 善昭 形成・美容外科センター長 |
主な経歴
専門としている領域
専門医・指導医
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