再生医療
整形外科で行う再生医療とは?
主に痛みなどにより上手く機能しない関節・骨・筋肉などに、組織の自己修復を促す成分を注入し、自己修復能力を高める治療です。それにより、例えば以下のような効果が期待できるとされています。
- 変形性関節症などの加齢性の変化による痛みの軽減
- 骨折の早期治癒
- アキレス腱断裂、腱板損傷等の筋・腱損傷の早期治癒
など
整形外科領域では「多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)」と呼ばれるものを使用します。 以下PRPと記載します。
当院では日本MDM社製のPRP-FD(LC-PRP)を使用します
主に以下のような特徴があります。
- 患者さん自身の血液から抽出された血小板が高濃度に含まれる血漿:PRPを凍結乾燥したもの
- 自己修復に必要な、細胞増殖を促す成長因子を含む
※PRP中の主な成長因子
形質転換増殖因子(TGF-β:Transforming Growth Factor-β)
血小板由来成長因子(PDGF-α/β:platelet-derived growth factor)
上皮成長因子(EGF:Epidermal Growth Factor)
血管内皮細胞増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)
対象となる患者さん(以下の疾患でお悩みの方)
- 変形性膝関節症
参考)ESSKA ORBIT Consensus Use of injectable orthobiologics for the treatment of knee osteoarthritis
Part 1: blood-derived products (alias PRP) - 肩腱板損傷
参考)Grayson Poff et al. Comparison of Clinical Outcomes after Platelet-Rich Plasma and Rotator Cuff
Repair.
in High-Grade Intrasubstance Partial Rotator Cuff Tears. J Clin Med. 2023 Sep; 12(17): 5554.
※今後も対象疾患を拡大することを検討中です。
治療の流れ
大まかな流れは次の4段階です。
①問診・PRP前の評価→②採血→③PRP施行→④評価
初診
- 問診, 診察, 同意書説明
- 検査:採血, レントゲン, MRI(*)
PRP準備
- 同意書記入
- PRP用採血(51ml)
PRP施行
- 目的の組織にPRPを注射
- 1〜3週の間隔で合計2回の注射を行う
PRP準備
- 問診, 診察
- 検査:レントゲン, MRI
(*)レントゲン検査の時点で末期の変形性関節症の診断となる場合、PRPの効果は限定的となるため、MRI検査、PRPを行うかはよく相談の上で決定します。
再生医療Q&A
- 治療を受けることができない患者さんはいますか?
- 当院では、次のような方へのPRP治療は行いません。
- 傷からの出血が止まりにくい(出⾎性素因)
- 貧⾎
- 重篤な感染症にかかっている
- 感染症にかかりやすい(易感染性宿主)
- 効果はどのくらい持続しますか?
- 患者さんにより様々です。但し、末期の変形性関節症に対しての効果は限定的です。
- 副作用はありますか?
- 患者さん自身の血液から抽出したものを注射するので、PRPの成分自体による重い副作用は少ないと考えられます。また採血により得られた患者さんの血液が固まりにくいように、クエン酸が用いられており、クエン酸による副作用もかなり少ないと考えられます。
注射による痛み、腫れ、赤みは生じる可能性があります。
また稀ではありますが、細菌による感染症を発症する可能性もあります。
費用について
この治療は健康保険の適応外のため、全額自己負担となります。診療にかかる費用は下記の通りです。
- PRP療法1回(2回投与)につき 200,000円(税別)
- 初診料:3,300円、再診料:1,100円
外来日
第2土曜午前、月曜午前、木曜午後
櫻井 好太郎医師が診療を行います。