コラム6:安眠を目指して

睡眠時無呼吸症候群と睡眠薬

睡眠無呼吸症候群(SAS)の患者さんの場合、睡眠薬が呼吸に影響をおよぼすため、慎重に投与する必要があります。

特にベンゾジアゼピン系睡眠薬は呼吸に影響をおよぼし、上気道を虚脱・閉塞させることから、睡眠呼吸障害や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を悪化させる可能性があります。COPDの患者さんは『陸でおぼれる』といわれるように呼吸困難症状が強く、うつ病を併発し不眠で悩んでいる人が特に多いです。したがって、睡眠薬は睡眠障害を悪化させない非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を選ぶべきです。

睡眠時無呼吸症候群と睡眠日記

SASおよび睡眠障害が認められる患者さんは、自分の睡眠状態を振り返るという意味で「睡眠日誌」を記録することをお勧めします。その中でも睡眠薬の使用状況などは特に重要なため、ぜひ記録していただき診療の手助けとしてください。

しかし、実際に日誌を書き、続けることはとても大変です。そのため、スマートフォンの睡眠アプリやキッセイコムテックで行われている睡眠計測サービス等を利用するのもおすすめです。

安眠を。安眠のヒントは眠りに優しい生活こそが最大の治療法です。

睡眠障害対処12の指針

1.睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分

・睡眠の長い人、短い人、季節でも変化、8時間にこだわらない
・歳をとると必要な睡眠時間は短くなる

2.刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法

・就床前4時間のカフェイン摂取、就床前1時間の喫煙は避ける
・軽い読書、音楽ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング

3.眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない

・眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする

4.同じ時刻に毎日起床

・早寝早起きでなく、早起きが早寝に通じる
・日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜の朝がつらくなる

5.光の利用で良い睡眠

・目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン
・夜は明るすぎない照明を

6.規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣

・朝食は心と体のめざめに重要、夜食はごく軽く
・運動習慣は熟睡を促進

7.昼寝をするなら、15時前の20~30分

・長い昼寝はかえってぼんやりのもと
・夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響

8.眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに

・寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る

9.睡眠中の激しいいびき・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意

・背景に睡眠の病気、専門治療が必要

10.充分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に

・長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談
・車の運転に注意

11.睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと

・睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる

12.睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全

・一定時刻に服用し就床
・アルコールとの併用はしない

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公開日:2017年6月7日 |最終更新日: |カテゴリ:松岡医師コラム