渡邉貞義院長 新年あいさつ
新年明けましておめでとうございます。
早いもので平成22年4月より慈生会病院から「総合東京病院」へと変わってからもう7年が経とうとしています。院長に就任した時から、このままではだめだ。何とかしなければいけない」と思い、病院の改修を含めハード面もソフト面も病院の改革に取り組んできました。
まずは、“救急患者は断らない”という当グループの方針で頑張ってきました。そこで、「何とか救急の導線を良くしたい。そして、集中治療と手術室を充実させたい」という思いから、平成26年9月に地下1階地上8階建てのA棟を開設させることができました。開設後も救急をはじめ、集中治療、手術と頑張っています。
また、2年前に病院の向かい側の土地が購入でき、取得した土地において本年の4月にはB棟もオープン予定となっております。
これから、私たちが取り組むのは、以下のことです。
- 救急のさらなる充実
- 脳卒中センター
- 循環器病センター
- リハビリセンター
- 小児初期救急
- 病児・病後児保育事業
(図3)
B棟では、上記①~⑥に対して、図3のような予定となっております。
まず、地下には癌の放射線治療を行う装置(リニアック)を導入し、1階においては小児初期救急も対応可能な救急外来、脳卒中センターを配備します。そして2階ではカテーテル室3室+心臓専用ハイブリッド手術室を備えた循環器病センターを立ち上げます。これから当院は脳卒中、心疾患、癌と三大疾病に対して全力で取り組んでいく所存です。
そして3~5階には、回復期リハビリ病棟をオープンさせ現状以上にリハビリテーションを充実させます。
脳に関していえば、以前より福島孝徳先生(アメリカ、デューク大学)による手術を行ってきましたが、最近、手術数の増加に伴い、「福島孝徳 脳腫瘍センター」を開設致しました。
我々が所属する南東北グループの本院(総合南東北病院 / 福島県郡山市)では、悪性脳腫瘍に対する中性子線による治療(BNCT)の治験が始まりました。これは、中性子線を使用した治療を病院内で行うのは世界で初めてで、不治の病と言われている悪性脳腫瘍の治療に一石を投じる画期的な治療となる可能性があります。当院においても今後、今以上に脳腫瘍の治療に関して力を入れて行ってまいります。
さらに、当院の脳神経外科には、脊椎脊髄の専門家(指導医/専門医)がおります。専門外来にて多くの患者さんを診させて頂いております。今後、ますます高齢化が進む中で、背中が痛い、腰が痛いという患者さんがさらに増えることが予想されます。当院としては脊椎脊髄疾患に関しても力を入れてまいります。
脳血管障害の治療に関しては、手術と脳血管内カテーテル治療がありますが、当院ではどちらの治療でも受けることができます。安全で確実な方を最終的に判断し決定しています。脳血管障害の中でも、脳梗塞に関しては最近の治療は大きく変わってきています。近年、脳梗塞の治療用のステント型の血栓回収機器が薬事承認され、それらを使用できるようになり再開通率が飛躍的によくなりました。これらを用いた臨床試験においても明らかに血管内治療が有用であることが示されています。脳梗塞になった患者さんにとっては、いかに早く受診するか、そしてこれらの治療を受けられる病院に行けるかどうかが大きなカギになってきます。どこでも受けられる治療ではないことに注意してください。
さらに、頭の病気の多くは血管障害ですが、脳の血管が悪ければ全身の血管も悪いことが多いということが分かっています。一昨年より、循環器内科に非常に優秀な医師たちに来ていただきました。
ぜひ、当院循環器内科のホームページを見てください。見ていただければわかると思いますが、多くの本なども執筆しており、世界中に行って色々な国の医師に対して治療方法等の指導を行っている本当にスペシャリストな医師たちが当院にはいます。
循環器内科は今春には医師9名の体制が整う予定です。また昨年からは心臓血管外科も医師が常勤3名体制となり、より循環器疾患の治療の対応できる幅も拡がっております。当院においては、頭から足まで、全身の血管を診ていきます。
まだまだ紹介したい科など、たくさんあるのですが、紙面の都合上、今回は割愛させていただきます。
当院では、市民公開講座として月に4回は院内で様々な科の医師が当院でできる治療のことや病気やケガへの対策等について講演しております。
また、南東北グループとしても全国各地(主に首都圏)で陽子線治療など癌などの先進医療の市民公開講座も行っております。興味ある方は是非参加してみてください。
当院は先進医療と地域医療に貢献すべくこれからも全力で行ってまいります。
今年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。