長引くせきの原因とは?
患者さんのためのQ&A
寒さが厳しい季節を迎えました。体調を崩し、職場や電車の中で咳込んでいる人をよく見かけます。今年の風邪はせきが長引くケースがあるようです。風邪以外の疾患でもせき症状が続くこともあり、早めに医療機関にかかったほうが良い場合もあるそうです。今回は「長引くせき」をテーマに当院・呼吸器内科の桑平一郎医師にご紹介していただきます。
せきが長引くとは?
日常生活の中でせきが出る原因として最も多いのは風邪ですが、通常風邪は1週間くらいの短期間で治ります。やや長引いて2週目くらいになることもありますが、呼吸器内科の領域ではせきが3週間以上続く場合に「長引く」という表現を用います。そして、おそらく何か原因があるのではないかと考えます。熱はないけれど、せきがとれない場合について考えてみましょう。
せき症状が長引く場合に考えられる疾患とは?
具体的にいくつかの病気を挙げましょう。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
過去あるいは現在までタバコを吸っていた喫煙者であれば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、以前には肺気腫や慢性気管支炎と言われていた病気の可能性があります。風邪をひいた後にせきと痰が長引いたり、階段を登る時や荷物を持って歩く時に息切れ感じたりするという特徴があります。
気管支喘息
COPDとは別の病気ですが気管支喘息も重要です。風邪の症状がないにもかかわらずせきと痰が続き、特に夜間から早朝にかけて息を吐くたびにゼーゼー(喘鳴と言います)と音がして息苦しく感じます。喘息には吸入薬が必要です。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)など鼻の病気では鼻汁がのどの奥に落ちてくる後鼻漏が原因でせきがとれなくなります。
その他の呼吸器疾患
結核や非結核性抗酸菌症(肺MAC症とも呼ばれます)など慢性呼吸器感染症、肺がんなどが原因となることもあります。
呼吸器以外の病気
逆流性食道炎がせきの原因になる場合があります。甲状腺腫があり気管が圧迫されてせきになる場合もあります。
以上簡単に書きましたが、もし気になるようであればどうぞお気軽に呼吸器内科をご受診ください。病気は早期発見が大切です。
監修 呼吸器疾患センター長 桑平 一郎 |