経口補水液の使用法と作り方

経口補水液ってどんなときに使えばいいですか?
患者さんのためのQ&A

暦が夏から秋へ移り変わりましたが、外出時に汗をかいてしまう日はまだまだ続きそうですね。それに加えてインフルエンザの流行で熱中症のほか発熱による脱水症状に注意が必要です。今回は経口補水液について取り上げてみました。

経口補水液って何?

経口補水液は、医学的知見から水にナトリウムやカリウムなどの電解質(塩分)と糖分(砂糖やブドウ糖)を一定の割合で配合設計された飲料です。塩分などの電解質が十分量含まれるとともに糖分も入っており、水分や塩分を身体に素早く吸収させます。そのため経口補水液を飲むことで水分とともに適度な電解質を補給することができ、脱水症の重症化を防ぐことができます。

経口補水液はどんな人が飲むのか?

感染性腸炎、感冒による下痢・発熱を原因とした脱水症、高齢者の経口摂取不足を原因とした脱水症、過度の発汗を原因とした脱水症、脱水を伴う熱中症などが挙げられます。
特に高齢者、小児は注意が必要です。高齢者は、体内の水分量が少ないため、普段よりも多く汗をかくだけでも脱水症の原因となりえます。小児は代謝が活発であるため、大人が気付かないうちにたくさんの水分を失っていることがあります。このような方には積極的に経口補水液を飲んでいただきたいと思います。飲む量の目安は成人で1日500~1,000mLです。

スポーツドリンクとの違いは?

スポーツドリンクは、体液に近い浸透圧(水に溶けている糖分・塩分の濃さ)にすることで体内へ素早く吸収し、身体の疲労・回復を助けますが、飲んだ時の口当たりを良くするため、経口補水液と比べると塩分が少なく糖分が多くなっています。そのため、スポーツドリンクの飲み過ぎが問題となっていて、“ペットボトル症候群”と呼ばれる高血糖症状(吐き気、腹痛など)を引き起こす場合があります。
一方、経口補水液はスポーツドリンクと比べて糖分は少なく塩分が多くなっています。よって、素早く水分・塩分の補給を行えるのですが、そのままでは美味しいと感じないかもしれません。そのため、市販の経口補水液は色々な味付けの工夫をすることにより、比較的飲みやすくなっています。もちろん、こちらも飲み過ぎには注意が必要です。

経口補水液の作り方

このような経口補水液ですが、自宅でも簡単に作ることができますので、緊急時には試してみても良いかも知れません。作る時は、水、塩分、糖分のバランスが重要なので、しっかりと量り取るようにしてください。


  • 材料
    水 1リットル
    砂糖(上白糖) 40g(大さじ4と1/2杯)
    塩 3g(小さじ1/2杯)
    お好みでレモン等の柑橘果汁
  • 作り方
    1.1リットルの水に、砂糖40g、塩3gを混ぜて溶かす。
    2.お好みでレモンなどの柑橘類果汁を加えるとすっきり飲みやすくなります。

経口補水液は市販のものもあるため、買い置きしておくと良いと思いますが、緊急時に備えて一度作ってみてはいかがでしょうか。


監修

総合東京病院 薬剤科

對馬 晴枝

薬剤科

公開日:2023年10月19日 |最終更新日: |カテゴリ:医療コラム
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