感染症の予防対策
【インフルエンザ、新型コロナウイルス、ノロウイルス】
患者さんのためのQ&A
2019年12月に中国・武漢市で新型コロナウイルス感染症が報告され、世界各地で約4億人が感染し、日本でも3千万人以上が感染しました。2023年5月8日から5類感染症となり重症化のリスクは低く、旅行や会食などのニーズは増えましたが、感染力が強く流行期になると猛威を奮っています。また、季節性インフルエンザやノロウイルス感染症は毎年冬季に流行しています。感染症にはそれぞれ感染経路があり、経路別に予防することが重要となります。
このコラムでは自分が感染症にかからない、またヒトにうつさないために最低限行うべき基本的かつ重要な感染対策をご紹介します。
手洗いは感染対策が重要
感染対策の基本であり、重要かついつでも誰でも取り組むことができる対策です。接触感染を予防するために行います。接触感染する感染症は、主にノロウイルス感染症です。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症も、稀に接触感染を起こします。手洗いは、15秒かけて行うことが推奨されていますが、重要なことは所要時間よりも手指全体を綺麗にすることです。特に親指のつけ根、指先、指の間は洗い忘れがある部位と言われています。外出先で手を洗った後は、手を拭いた後のペーパータオルで蛇口を閉めることで手洗い後の手指汚染防止になります。また、手洗い後のアルコール消毒はさらに手指の雑菌を減少させることができます。
出典:サラヤ株式会社ホームページより
マスク着用で飛沫感染を予防
マスク着用の義務はなくなりましたが、満員電車などの密室ではマスクを着用することで、飛沫感染予防になります。また、自分の飛沫を排出させないためにも有効です。マスク着用のポイントは鼻と口をしっかり覆うことです。マスクを外すときは、前面に触れずにマスクの耳にかけている紐を持って外すことで、手指の汚染を防止できます。
出典:サラヤ株式会社ホームページより
定期的な換気でエアロゾル対策
換気は新型コロナウイルス感染症対策だけでなく、インフルエンザやノロウイルス感染症対策にも有効です。エアコンは室内の空気を循環させているだけなので換気にはなりません。しっかり外気を取り込むよう少しでも窓を開けておくことが換気の重要なポイントです。特に新型コロナウイルスは、エアロゾル感染を起こすとされています。エアロゾルとは人が息をしたり話をしたりすることで発生する微小な液体で、タバコの煙の動きによく例えられます。エアロゾル対策は換気しかないと言われています。3密を回避するために換気はこまめに行って感染を防ぎましょう。1時間に5分から10分の換気が推奨されています。また、冬場は換気を行うことで結露防止にもなります。
まとめ
どんな感染症にも必ず感染経路があります。そのため、感染経路に沿って予防することが重要となりますが、手洗いはどの感染経路にも有効であり、いつでも誰でも取り組むことができるシンプルな感染対策です。マスク装着や換気も意識すれば誰でも取り組める感染対策です。感染症にかからない、またヒトにうつさないためにまめに手洗いを行い、マスク装着、換気を意識して行いましょう。
監修 総合東京病院 リスク管理部 感染対策室 課長 海老名昭寛 感染症看護専門看護師 |