気象病とは? ~梅雨の体調不良は何が原因?~

天気が悪いとなぜか身体の調子が悪くなってしまいます。
患者さんのためのQ&A

天気と体調の関係

全国的に梅雨入りして曇りや雨空が続いています。雨の日が多いと気分が落ち込んだり、身体のだるさや頭痛を感じたりする人もいます。これらの症状を総称して気象病と呼ぶそうです。今回は気象病について分かりやすく解説していきたいと思います。

気象病ってなに?

ドラマの1シーンで、キザな登場人物のセリフで「雨が降ると古傷が痛む」というのを耳にしたことがあると思います。天候の変化によって過去に痛めた膝や腰が疼く(うずく)ということは昔から言われてきましたが、最近では、天候が人間の身体に何らかの影響を及ぼしていることが分かってきました。

天気の変化によって人間の身体に起こる不調を総称して「気象病」と呼ぶそうです。ある製薬会社が「気象病」について行った調査※¹によると、「気候や気圧の変化による身体の変化や不調を感じたことの有無」について全国の男女2,400人に聞いたところ、全国平均で半分以上が気象病を経験したことがあると回答しました。なかでも冬に曇りや雨・雪の日が多い地域である島根県や新潟県が上位を占め、梅雨がないといわれている北海道で経験者が最も少ないという結果でした。

また気象病による症状として多いのが、頭痛(約70%)、だるさ(約50%)、気分の落ち込み(約24%)だったそうです。

【気象病の症状】

  • めまいやふらつき
  • 倦怠感(身体のだるさ)
  • 頭痛
  • 肩こり、腰痛
  • 関節痛
  • 過去にケガや骨折をしたところが痛む
  • 気分が落ち込みやすい

気象病はなぜ起こるのか?

天気予報で低気圧になると雨が降るというのは何となく理解していると思います。低気圧が来ると気圧が変化します。耳の中には内耳という器官があり、気圧を感じるセンサーのような働きをしていると考えられています。内耳から脳に信号が伝わることである神経が過剰に興奮し、自律神経のバランスが崩れてしまうことで、先述したような症状が起こりやすくなると思われます。健常者に比べて何か病気を患っている患者さんのほうが内耳のセンサーが働きやすくなっていることも分かってきています。

どうすれば気象病を遠ざけられるのか?

ド生活習慣が乱れている人やストレスが多い人は自律神経が乱れがちになり、気象病の症状が悪化しやすいと言われています。自律神経のバランスを整えるためには、交感神経や副交感神経が上手に切り替わるように自分の生活を見直すことから始めましょう。規則正しい生活やバランスの採れた食事、ストレッチや軽い運動などを行うことが重要です。

【自律神経を整える】

  • 毎日決まった時間に起きる
  • 1日中家の中にいない 外出もしてリラックスする
  • バランスの良い食事を心がける
  • ストレッチやウォーキングで身体をほぐして血流をよくする

参考文献
第一三共ヘルスケア
天気の変化による身体の不調「気象病」に関する全国47都道府県実態調査


監修

総合東京病院 脳神経学研究所所長

片山 泰朗

脳神経内科

公開日:2023年6月22日 |最終更新日: |カテゴリ:医療コラム
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