加湿器肺(通称 加湿器肺炎)とは?
患者さんのためのQ&A
紅葉の時期も終わりを迎え、これからが冬本番。空気が乾燥することで風邪を引きやすくなる時期です。部屋の中を加湿することで感染症の予防に取り組んでいるご家庭も多いと思います。最近では感染症対策で加湿器の需要も増加傾向にあるそうです。
冬にかけて加湿器が原因のアレルギー性の肺炎が増えることをご存知ですか。「加湿器肺炎」とはどういう病気かを知って快適な冬を過ごせるようにしましょう。
加湿器肺とは?
「薬を飲んでも咳が治らない」、「帰宅すると咳が出る」といった症状をお持ちの患者さんが外来に来られることがあります。このような患者さんは加湿器を使っていることがあります。加湿により乾燥を防いで感染症を予防することは非常に大事ですが、冬にかけて加湿器が原因のアレルギー性肺炎が増えるという報告があります。
加湿器が原因で起こる肺炎を一般的に「加湿器肺」と呼んでいますが、医療現場では「過敏性肺炎」と呼んでいます。アレルギー性の肺炎で、ひどい場合には呼吸困難を起こすこともある怖い病気です。特徴として、帰宅すると咳が出ることや、処方された薬を飲んでも咳が止まらないことなどが挙げられます。
加湿器肺の特徴
加湿器肺の特徴には次のようなものがあります。当てはまる場合には注意が必要です。
- 咳が出る
- 発熱や悪寒、全身倦怠感などがある
- 帰宅すると咳が出て調子が悪くなる
- 処方されたお薬(抗生物質)を飲んでも効かない
加湿器肺の原因
加湿器のなかにある水分で発育したカビなどを吸い込むことによって、肺でアレルギー反応を起こしてしまうのが加湿器肺炎の正体です。
アレルギーによる肺炎なので、お薬(抗生物質)を飲んでも効果を得られません。
検査と治療
加湿器肺を疑う場合は、CT撮影で肺を検査したり、内視鏡というカメラがついた管を使って肺の組織や細胞を採取したりします。また、入院して加湿器がない環境下で症状が良くなるかどうかの試験を行う場合もあります。
加湿器肺と診断された場合は加湿器の使用をやめれば症状が改善しますが、よくならない場合には肺や気管支で起こっているアレルギー反応を抑えるお薬を飲んでもらうこともあります。
加湿器のメンテナンスが重要です
最後に、加湿器の取り扱い方について紹介したいと思います。加湿器肺は加湿器のなかに潜むカビなどが原因なので、水をこまめに取り替えることが予防につながります。
加湿器に使う水はカビが繁殖しにくい水道水を選ぶようにしましょう。ミネラルウォーターはカビや雑菌が繁殖しやすいと言われているため、使わないようにしましょう。また、水を蓄えるタンク部分の拭き掃除などをこまめに行うことも重要です。
加湿器の拭き掃除には、消毒液での拭き取りも有効です。ご家庭でもできる消毒液の作り方をこちらのコラムで紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
監修 総合東京病院 呼吸器内科 青山 眞弓 |