尿トラブルの解決法と予防法
患者さんのためのQ&A
11月24日は「いい尿の日」です。11月24日が「11(いい)、24(にょう)」と読めること、11月以降寒くなり尿トラブルが増えることから記念日に制定されたそうです。
そこで、このコラムでは「尿トラブル」をテーマにお話ししたいと思います。尿トラブルの原因には、前立腺肥大症が大きく関わっていることが分かっています。前立腺肥大症が疑われる症状と治療法と予防法についてご紹介します。
尿トラブルとは?
尿トラブルとは、トイレの後もまだ尿が残っている感じがする(残尿感)、夜間に何度もトイレにいってしまう(夜間頻尿)、がまんできず漏らしてしまう(尿失禁)などの症状を指します。
これらは、前立腺肥大症といって50代以降の男性に多く見られる症状で、尿トラブルの原因となっている場合が多くあります。
前立腺肥大症とは?
前立腺肥大症は字のごとく、前立腺が大きくなって膀胱や尿道を圧迫し、尿トラブルを起こす病気です。前立腺はクルミくらいの大きさで、精液の一部をつくる男性にしかない臓器です。前立腺肥大症は、加齢に伴って増加傾向にあります。
前立腺肥大症の原因として考えられているのは、加齢、遺伝的要因、食生活、高血圧、高血糖、肥満、脂質異常で、最近の研究ではメタボリックシンドロームも大きく関係しているといわれています。
前立腺肥大症の症状-こんな症状ありませんか?
このなかで1つでも当てはまるものがあれば、前立腺肥大症の疑いがあります。医師に相談してみましょう。
- 排尿後に残尿感
- 排尿後2時間以内にまたトイレ
- 排尿中に尿が途切れる
- 尿を我慢できず、漏らしてしまう
- 尿の勢いが弱い
- お腹に力をいれないと尿が出ない
- 就寝から起床までに排尿で何度も目が覚める
前立腺肥大症になったら
前立腺肥大症の自覚症状があれば、まずは症状を和らげる飲み薬で治療を行います。飲み薬でも効果が期待できない場合は手術を行います。
当院では、ツリウムレーザー前立腺蒸散術という最新の治療法を2019年に導入しています。ツリウムレーザー前立腺蒸散術は肥大化した前立腺にレーザーを当て、前立腺を小さくして尿道の通りを良くする治療法です。手術は1時間程度で出血も少なく、性機能の障害もほとんどありません。
前立腺肥大症は予防できる?
前立腺肥大症の明らかな危険因子は加齢ですが、野菜、穀物、大豆などに含まれるイソフラボノイドやリグナンは、症状を抑える抑制因子になると考えられています。
日頃の食生活を見直して、前立腺肥大症の予防を心がけましょう。
前立腺肥大症の方への注意点
前立腺肥大症の方は、こんなことに気をつけましょう。
- アルコールは控える
- 尿意を感じたらすぐトイレへ
腎臓や膀胱に負担をかけないようにしましょう。 - コレステロールの高い食事は避ける
男性ホルモンの活性化を抑えましょう。 - 長時間座ったままの状態を避ける
座ったままの体勢は前立腺に負担をかけてしまいます。1時間に1回は体を動かすなど、工夫しましょう。 - 尿の勢いが弱い
- お腹に力をいれないと尿が出ない
- 就寝から起床までに排尿で何度も目が覚める
前立腺肥大症の疑いのある方や排尿トラブルでお悩みの方は、当院泌尿器科にご相談ください。
監修 総合東京病院 泌尿器科 |