呼吸器外科
呼吸器外科について
総合東京病院呼吸器外科は2016年4月の呼吸器内科開設を受け、2016年7月に呼吸器外科が開設されました。2018年5月に東京慈恵会医科大学呼吸器外科教授を定年退官した森川利昭教授が呼吸器外科部長として着任しました。診療対象は呼吸器外科全般です。同時に気胸センターを開設し、気胸センター長を兼任しています。
呼吸器外科として肺がん(原発性、転移性)をはじめ、呼吸器外科疾患全般(気胸、膿胸、縦隔疾患、手掌多汗症など)を対象に診断から治療まで行っています。
肺がんは患者数が年々増加傾向にあり、治療法の選択肢も広がっています。現在では外科切除を受けた肺がん患者さんの5年生存率は69.9%と、約7割の患者さんが5年以上生存できるようになりました。
近年、胸腔鏡手術の発達により肺がんに対する低侵襲手術(からだにやさしい手術)が可能となりました。手術の安全性が改善されたことから対象の患者さんが広がり、高齢・合併疾患保有者などリスクの高い患者さんに対しても安全に手術が行えるようになりました。また、手術後の痛みや後遺症が激減したため手術後後遺症に悩まされることも少なくなりました。
対応する主な疾患
- 肺がん(原発性、転移性)
- 気胸
- 膿胸
- 縦隔疾患
- 胸壁腫瘍
- 手掌多汗症など
検診等で見つかった胸部異常陰影の精査も行っております。
当院で施行できる検査
- 胸部X線写真
- CT
- MRI
- PET-CT
- 核医学検査
- 気管支鏡検査
- 呼吸機能検査
- 肺機能検査
当院は検査機器が充実しているのも特長です。小回りが利く病院の特性を活かして、大学病院レベルの精密な検査機器を迅速に行うことができます。
診療内容と特色
多職種との連携について
他科、他職種との間の垣根が低いのも特長で、風通しの良い連携のもとに力を合わせてそれぞれの患者さんにあった医療を提供しております。
関連の深い麻酔科、呼吸器内科、リハビリテーション科とは常に連携し、一人の患者さんを総合的に診療するよう心がけています。関連各科とは毎週合同カンファランスを施行しています。
当院はリハビリテーションが特に充実していて、術後早期からリハビリを行うことにより回復を促進しています。
患者さんに対して
患者さんは病気にまつわる様々な悩みを抱えて来院されます。その悩みは病気そのものに対する直接的な心配から、心の不安、手術に対する心配、療養環境の不備、はては金銭面の心配まで患者さんにより様々です。患者さんやご家族にはまず緊張を解いていただいて、本音のお考えをご自身の言葉でお話しいただき、私たちは難しい専門用語を使わずにじっくり相談させていただいています。
最近では一つのがんだけで命を失うことは少なくなり、様々ながんをふくめ多くの病気を抱えて生活しておられる方が珍しくありません。私たちは病気はその患者さんの人生の一部と考えており、その方の人生の中でどう対応するのが一番良いか、解決法を手術も含めて、一緒にじっくり相談するようにしています。
最善の方法として外科手術以外を選ばれる場合も、担当部署と協力して、患者さんにあった解決を考えています。
特徴的な手術について
当科では独自に開発した胸腔鏡手術を発展させ、これまでは手術が行えなかった患者さんでも安全に手術を受けられる体制を整えています。特に高齢・ハイリスクな難治性自然気胸に対する安全な手術を手掛けています。
手術について
胸腔鏡手術が始められたのは1992年からですが、森川医師は一からその開発に携わり、現在の胸腔鏡手術を確立してきました。その中で様々な肺の修復法や手術器具を開発し、現在では標準的に使用されているものも多くあります。
現在でこそ標準的に行われている胸腔鏡手術ですが、森川医師は当初から一貫して胸腔鏡手術を推し進め、さらに国内外への普及に努めてきました。前職の東京慈恵会医科大学では呼吸器・乳腺部門の責任者としてまた呼吸器外科手術の責任者として、肺がんを中心に呼吸器外科疾患全般(気胸、膿胸、縦隔腫瘍、手掌多汗症など)を診断から治療まで指導してきました。
従来の複数の切開で行う胸腔鏡手術に加え、最近では新しい単一の切開で行う単孔式胸腔鏡手術の開発と普及を全国の中心となって推進しています。
開胸手術
開胸手術は胸を大きく切開して外科医が手を入れて行う文字通りの胸を開く手術で、最後の砦となる手術です。当院では大部分の手術を胸腔鏡手術で行い、開胸手術は必要な限られた患者さんに対して行っています。胸腔鏡手術の発展のお陰で開胸手術も従来より体にやさしくなりました。
胸腔鏡手術
胸腔鏡手術は胸に手が入らないほどの小さい切開を加え、様々な器具を入れて行う手術です。切開の大きさは通常2-4cmで、必要に応じて数か所使用します(多孔式胸腔鏡手術)。
開胸手術では手を入れるために大きな切開が必要で、肋骨の間を器具で無理に広げる必要もあり、出血も多く、手術後の痛みも一定程度は避けられませんでした。
胸腔鏡手術では切開は器具を通すだけの広さで十分なため、肋骨の間を無理に広げる必要がありません。そのため手術後の痛みがとても小さく、短い期間で消失します。
胸腔鏡は胸の中を拡大して、大きなモニターで見るので、胸の中の隅々まで細かく見ることができます。胸腔鏡手術では小さな出血も見逃すことがないため、開胸手術と比較して出血量が激減し、ほとんどの手術で輸血することはなくなりました。手術後の入院期間も短縮し多くの方は数日以内に退院されています。以前は高齢者の手術は危険とされていましたが、胸腔鏡手術では90歳以上の方でも安全に手術を行うことが可能です。
森川医師は胸腔鏡手術を日本で一番早く始め、最も長い手術の経験があります。最近では上記のように一か所の切開だけで行う単孔式胸腔鏡手術の割合も増加しています。
診療実績
呼吸器外科の診療実績は外科・消化器外科の実績に含めています。
詳しくは外科・消化器外科のページをご覧ください。
スタッフ紹介
森川 利昭 気胸センター長 |
主な経歴
専門としている領域
専門医・指導医
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