炎症性腸疾患外来
診療案内
水曜午前と金曜午前に炎症性腸疾患を中心とした外来診療を行っています。多くの新薬の治験に携わってきた実績をふまえ、適切な診断治療を行います。
炎症性腸疾患とは?
腸炎のことです。頻度としては細菌・ウイルスなどの病原体による急性の感染性腸炎が多く、誰でも一度はかかったことがあるのではないでしょうか。これら急性の腸炎は短期で収束することが多く、かかりつけ医の先生のお世話になることが多いと思います。
これに対し、慢性のものには薬剤性などの原因の明らかなもののほか、原因不明のものが多く、これを(特発性)炎症性腸疾患と呼んでおり、潰瘍性大腸炎とクローン病が代表的です。当外来ではこれらの疾患が主な対象となります。これらの疾患では、診断が重要であることは当然ですが、一旦病状がおさまってもそのまま無治療でいるとじきに再燃してしまうことが多く、また、自覚症状があまりなくても腸の病変が静かに進行してしまって将来手術が必要となってしまうこともあります。発病後概ね10年以上たつと、特に炎症のコントロールが不良の状態が継続した場合に病変部の腸にたちの悪い癌ができてしまうことがあるのも重要な点です。これらの点から、長期にわたる管理が必要となってくるのです。
近年は高齢化に伴い多種類の薬を使う方が増えているため薬剤性の腸炎が増えていますが、病歴が複雑で腸炎の原因がわかりにくいことも多く、その診断の上でも炎症性腸疾患外来の役割が大きくなっています。
対象疾患
潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病などの慢性炎症性腸疾患
薬剤性腸炎
感染性腸炎などの急性腸炎
行っている検査
血液検査、便検査
内視鏡検査
CT・MRIなどのX線検査
行っている主な治療
・薬物療法:内服薬、注射薬、局所製剤(坐薬など)
・栄養療法
・血球除去療法
・手術
薬物療法が中心ですが、血球除去療法という血液透析に似た治療も必要になることがあり、当院では随時対応可能です。これらの治療で効果不十分の場合は外科手術が必要となることがあります。
地域の開業医の先生方へのご挨拶
当科では消化器疾患全般に対応しますが、当外来では特に炎症性腸疾患を中心とした診療を行います。慢性腸炎が疑われて精査が望まれる場合、炎症性腸疾患が既知である患者さんの病状が不安定になったとき、遠方から転居されてきて継続して治療が必要な炎症性腸疾患、等の場合、ご遠慮なくご紹介いただけますでしょうか。病状が安定した暁には、患者さんご本人とご紹介いただいた先生などとご連絡をとって、ご紹介元の先生の所へお戻りいただく(逆紹介)などのご相談をします。
一般の方へのご挨拶
下痢、排便回数の増加、夜間の便意、排便後も便が残る感じ、便に血が混じる、腹痛、発熱、体重減少などの症状は炎症性腸疾患が原因であることがあります。そうした症状が続く場合は検査が必要ですし、炎症性腸疾患と診断されれば治療が必要です。また、既に潰瘍性大腸炎やクローン病と診断されている方も必要に応じて受診していただけます。炎症性腸疾患の領域でも近年新薬が次々と登場していますので、以前からある薬も含めて適切な治療をしていきます。炎症性腸疾患では、管理を適切に行えば病状悪化時以外は入院や安静などの必要はなく、通学や勤務を含め日常生活上の制限なく過ごすことができます。
初めての受診の場合は、なるべくかかりつけ医の先生や健診センターなどからの紹介状をご持参ください。
また、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病などは厚生労働省が特定疾患(難病)に指定しており、基準が満たされれば特定疾患(難病)の認定を受けることができ、医療費の補助があります。当外来から申請できます。
消化器疾患センター長
松橋信行
診療時間
水曜午前、金曜午前
担当医:松橋信行(消化器疾患センター長)