会場風景
塚原玲子 医師
11月20日(月)、当院STR東京ホールにおいて、近隣で活躍する救急隊の皆さんを招いて当院の脳神経外科と循環器内科の医師らが症例を紹介する、脳心救急カンファレンスが開催されました。
開会の辞を循環器内科医で地域医療連携室長の塚原玲子医師が行い、「早いものでこのカンファレンスは5回目を迎える。心臓と脳は、私たち救急に携わる人間にとって中心的な疾患。今日は一緒に勉強していきましょう」と救急隊員に呼びかけました。
まずはじめに、脳神経外科の佐藤光医師が緊急バイパス術をテーマに講演を行いました。
脳梗塞を起こした80代の男性の症例を挙げ、時間経過ごとの画像所見、バイバス手術の所見を動画を使って紹介しました。脳外科領域における緊急バイパス術はマイナーであるが効果のある治療法と言及しつつ、手術のタイミングが難しく、手術を必要と判断した際に早急に対応できる準備が必要だと述べました。
次に循環器内科の河野真美医師が登壇。「心筋梗塞で搬送された多発動脈硬化症の一例」を紹介しました。Leriche症候群や動脈硬化症の概要、搬送された40代男性の心電図、Coronary CT、CAG、PCIを画像や動画で分かりやすく説明しました。動脈硬化症は多臓器の疾患を有する可能性があり、一疾患の治療のみならず各臓器のスクリーニングを行い、早期発見が重要であると警鐘を鳴らしました。
佐藤 光 医師
佐藤真美 医師
その後行われたショートレクチャーでは、循環器内科の滝村英幸医師が呼吸困難の初療の仕方について講演を行いました。心不全や肺塞栓など呼吸困難を来す疾患を挙げた後、心不全の症状や血行動態など特色について説明しました。
「心臓の不全は全身臓器の不全」を意味すると言及し、心不全を起こす基礎疾患や発症前に有していた疾患の割合、増悪因子なども紹介。呼吸苦で搬送された患者の頸静脈の部分を動画で示しながら、呼吸苦の患者にはまず起座位をとり、酸素投与、血圧の測定、SpO2測定、モニター心電図などを行う必要があることを周知しました。
滝村英幸 医師
呼吸苦で搬送された患者への対処ポイント
脳神経外科の大友朋子医師も脳卒中の救急受け入れの状況について発表を行い、当院では軽症の脳卒中患者の搬送が多いことを紹介し、「今後もよろしくお願いします」とさらなる協力を要請しました。
同カンファレンスの最後に塚原玲子医師が登壇。脳神経外科の佐藤医師のバイパス手術についての講演は、「循環器内科医の私にとってとても興味深かった。今後も継続して開催していきたいと思うので、ご参加よろしくお願いします」と締めくくりました。