Coconeriホール
会場風景
2017年9月10日(日)に練馬区民・産業プラザ3階Coconeriホールにおいて、「がんの発見と先進医療~痛みの少ないがんの早期発見と治療~」と題した市民公開講座が開催されました。会場に用意していた席数では足りず、急遽イスを運び込む場面もありましたが、おかげさまで講演を盛況のうちに終えることができました。
まずはじめに、当院院長の渡邉貞義先生(脳血管内治療センター長)より「現在、癌は死亡原因の第一位になっている。今日は最先端の治療についてご紹介していくので、どういう治療選択があるのか勉強してほしい」と開会の挨拶を行いました。
渡邉貞義先生の「がんの発見と先進医療~痛みの少ない癌の早期発見と治療~」と題した講演では、がん細胞は2cm以上になると成長が早まるため1cm未満の状態で見つけることが何より重要であること、そのためにはミリ単位のがんやリンパ転移を見つけることに長けたPET-CTによる検査が必要であると訴えました。また、現在臨床段階であるBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の最新動向にも触れ、ホウ素ががん細胞だけに取り込まれ、中性子によってがん細胞が選択的に破壊されるという有用性について症例を交えて紹介しました。
続いて、小田 誠先生(当院呼吸器外科統括部長)は、「肺がん最前線~早期発見と3日で退院できる最新の外科治療」をテーマに、肺がんの5年生存率が30%であること、女性やタバコを吸わない人が罹患してしまう腺がんが最近増加傾向にあり、問題になっていることを冒頭で紹介し、最新の肺がん治療について詳しく説明しました。肺がんは早期発見の段階での手術が最も治癒率の高い局所療法で、胸腔鏡下手術は傷が小さいため身体への負担が少なく、退院までの日数が短いなどの利点を動画で解説しました。最後に、喫煙者は40歳を過ぎたら毎年CT検査を受けること、非喫煙者や喫煙者問わず、60歳を過ぎたら2年に1回はCT検査を受診することが望ましいと参加者に周知しました。
最後は、村上昌雄先生(南東北がん陽子線治療センター長・獨協医科大学特任教授)が「どのような病気に粒子線治療を行うのか?」と題し、陽子線治療の有用性についての講演を行いました。陽子線は身体の中で止めることができる放射線で、照射によって無闇に正常細胞を傷つけることなく集中的に照射し、DNAを損傷させてガンを攻撃することが可能です。前立腺がん、肝臓がん、頭頚部腫瘍、肺がんに対して有効で、1回の照射は1~2分。ベッドで寝ているだけで、照射時には痛みはありません。今後は、治療対象が広がり、局所進行肺がんや放射線治療後の再発、膵がん、小児腫瘍などにも用いられるようになると示唆しました。
講演の後には、PET検診を無料で受診できる優待券が当たる抽選会が開かれ、渡邉貞義院長が選んだ番号を読み上げて、2名の参加者に優待券を贈呈しました。皆様の健康維持・増進のため、当院の市民公開講座やPET検診をぜひお役立ていただければと思います。