帯状疱疹とは?~帯状疱疹はひとごとではありません、予防が重要です~
患者さんのためのQ&A
帯状疱疹が若者から高齢者までの世代で増加しています。今回は「帯状疱疹とはどういう病気なのか」、「帯状疱疹ワクチンとはどのようなものか」をわかりやすく解説したいと思います。
増加傾向にある帯状疱疹
帯状疱疹は80代までに3人に1人が発症するといわれています。宮崎県で行った大規模調査において、全世代で患者数が増加傾向にあることが分かっています。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、水ぼうそうの原因である水痘帯状疱疹ウイルスが神経節という身体のある部位にずっと潜み、ある時、再活性化することで発症する病気です。写真は胸部に出現した皮疹ですが、顔、頭、臀部など色々なところに出現します。皮疹とは皮膚にみられる病変を意味します。
帯状疱疹にかかりやすい人は?
年齢別の帯状疱疹発症率(2009~2015年、宮崎スタディ)
Shiraki K, et al. Open Forum Infect Dis. 4(1), ofx007, 2017より作図
(GSK社パンフレットより引用)
帯状疱疹は加齢により細胞性免疫が低下することが原因と考えられますが、高齢者がかかりやすい慢性疾患によっても発症リスクが上昇します。グラフのように、ある研究によれば、80歳以上では3人に1人が発症するとのデータがあります。
帯状疱疹にかかりやすい要因
- 高齢者
- ストレス
- 糖尿病やがん患者
- 自己免疫不全など
帯状疱疹の症状
皮疹が改善しても痛みが残り、時には激痛が走ることもあり非常にやっかいです。シャツが擦れるくらいでも激痛が走ることがあり、外出もままならなくなります。
胸部の肋間神経に沿った皮疹
稲田英一 他 編: 帯状疱疹 Up-to-Date. p20-23, 診断と治療社, 2012より引用
(写真:愛知医科大学皮膚科 渡辺大輔先生)
予防する方法とは?
これまでも弱毒生ワクチンがありましたが、2020年には、より有効性の高い組換えワクチン(不活化ワクチン)が50歳以上の成人に対して承認されました。2回接種する必要がありますが、市区町村による公費助成が行われ、東京23区では多くの地域で1回1万円程度の補助が受けられます。生ワクチンが禁忌である免疫抑制状態の患者さんにも接種可能です。予防効果は10年以上にわたり、有効性は約90%との成績も出ています。帯状疱疹はひとごとではありません。私自身も接種をしました。皆さんにも接種をお勧めします。
監修 総合東京病院 呼吸器疾患センター長 東海大学客員教授 桑平一郎 医師 |