新型タバコの健康への影響は?
患者さんのためのQ&A
動脈硬化をはじめ、健康リスクを高めるとされ、健康を意識する人たちから敬遠されがちなタバコ。近年、新型タバコが登場し急速に普及しています。「煙がほとんど出ない」、「健康に影響しない」といった情報がネット上では飛び交っていますが、本当のところどうなのでしょうか。このコラムでは新型タバコと人体への影響についてご紹介したいと思います。
タバコはなぜ健康に悪いのか?
まずは、従来からある紙巻きタバコがなぜカラダに悪影響を及ぼすのかを解説したいと思います。
問題はタバコの煙です。この煙には発がん性物質が多く含まれており、その数は70種類以上といわれています。みなさんが良く耳にするのがタールや一酸化炭素などではないでしょうか。
同じくタバコの煙に含まれるニコチンは、発がん性物質ではありませんが麻薬に匹敵するほどの依存性があります。本人の意思でどうにかなるというわけではなく、依存性が非常に高いため、なかなかやめられません(下図)。
ニコチンは、ヘロインやコカインなどの麻薬と同じくらい依存性が高い!
■使用者が依存症になる割合
ニコチン > ヘロイン > コカイン > アルコール > カフェイン
■依存症になった人の禁断症状の強さ
アルコール > ヘロイン > ニコチン > コカイン > カフェイン
■依存症の人がやめる難しさの度合い
【コカイン = ヘロイン = アルコール = ニコチン】 > カフェイン
参考 日本医師会ホームページ
https://www.med.or.jp/forest/kinen/medical/
タバコを吸い続けることで、がん、高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、骨粗鬆症、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高くなるといわれています。また、副流煙によって自分だけでなく周りの人たちの健康を脅かします。
新型タバコの種類と特徴とは?
新型タバコは、加熱式タバコと電子タバコの2種類に分けられます。
加熱式タバコとは、タバコの葉を燃焼させず、加熱によって発生するエアロゾル(蒸気)を吸引するタバコです。一般的に販売されているアイコスやプルームテックなどが該当します。
一方、電子タバコは、タバコの葉を使わずに装置内に液体(リキッド)を電気加熱させてエアロゾル(蒸気)を発生させます。液体はニコチンを含んでいません。ニコチンを含むリキッドは日本国内の販売は禁止されています。
加熱式タバコの健康への影響は?
今回は加熱式タバコの健康への影響について言及したいと思います。
タバコの葉を加熱することで、加熱式タバコでもエアロゾルが発生します。このエアロゾルにはニコチンなどが含まれています。つまり、加熱式タバコでも紙タバコと同じようにニコチンの依存性は避けられません。
また、発がん性物質のホルムアルデヒドが紙タバコと同じくらい含まれているという報告があります。さらに、紙タバコに含まれていない物質が使われており、継続して吸い続けることでどのような影響があるか明らかになっていない部分もあります。
日本呼吸器学会では、加熱式タバコは健康に悪影響をもたらすだけでなく「受動吸引による健康被害が生じる可能性がある」として注意喚起を行っています。
参考 日本タバコ産業株式会社ホームページ https://www.jti.co.jp/tobacco/knowledge/variety/electronic_cigarette/index.html
監修 総合東京病院 呼吸器内科 |
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