腸内フローラとシンバイオティクス
患者さんのためのQ&A
腸内フローラにいる腸内細菌の種類とは?
腸の中には、数多くの微生物(腸内細菌)がすんでいます。腸内細菌が集団ですみついている様子が花畑(フローラ)に似ているため、「腸内フローラ」と呼ばれています。
腸内細菌は、大きく3つに分類されます。
- 乳酸菌やビフィズス菌などの有用菌→「善玉菌」
- 黄色ブドウ球菌やウェルシュ菌などの有害菌→「悪玉菌」
- どちらにも区別できない中間的な菌→「日和見菌」(ひよりみきん)
健康な腸内では、乳酸菌のような善玉菌が悪玉菌の定着・増殖を抑えています。また、善玉菌には有害物質を体外に排出するのを助ける作用もあります。
何らかの原因で腸内の悪玉菌が多くなると、悪玉菌がつくりだす有害物質も増え、便秘や下痢、肌荒れやアレルギーなどを引き起こすことがあります。「悪玉菌より善玉菌が多い腸内フローラ」に整えることが健康への第一歩となります。
腸内フローラのバランスが崩れる原因とは?
腸内フローラのバランスが崩れる原因としては以下のようなものがあります。
- 食生活の乱れ
- 加齢
- 運動不足
- ストレスや過労、睡眠不足
- 飲酒やたばこ など
腸内環境が悪化すると、次のように生活への悪影響もあります。
- 便秘や下痢になりやすい、おならがくさい、お腹が張る
- 肌荒れ、アトピー、アレルギー
- 感染症になりやすい
- うつや気分が沈みがち など
理想的な腸内環境に整えるためにはどうしたらよいのでしょうか。
腸内環境を整える「シンバイオティクス」とは?
身体に良い善玉菌を含むものをプロバイオティクス、その善玉菌の栄養源となるものをプレバイオティクス、そして両方を合わせて摂ることをシンバイオティクスと呼びます。
理想的な腸内フローラに整えるためには、善玉菌を含むもの×善玉菌のエサとなるものを一緒に摂ることが重要です。
善玉菌とそのエサをセットで摂る「シンバイオティクス」で、より効果的に腸内フローラを整え、健康を促進することができるといわれています。
プロバイオティクスの食材例
プロバイオティクスとは、身体に良い善玉菌そのものを含むものを指します。
プロバイオティクス(善玉菌) | 主な作用 | 食材例 |
---|---|---|
ビフィズス菌 | 整腸作用、悪玉菌増殖抑制、感染症予防、免疫機能調整 | ビフィズス菌入りヨーグルト、チーズ |
乳酸菌 | 整腸作用、血圧の安定化、脂質代謝改善 | 動物性…ヨーグルト、チーズ 植物性…キムチ、納豆、味噌 |
酪酸菌 | 炎症抑制、アレルギーなどの免疫機能の調整、肥満予防、代謝促進 | ぬか漬け |
納豆菌、麹菌 | - | 納豆、甘酒 |
プレバイオティクスの食材例
プレバイオティクスとは、善玉菌のエサとなるものを指します。
プレバイオティクス | 食材例 |
---|---|
水溶性食物繊維 | 野菜類(ごぼう、にんじん、芽キャベツ、おくら、ブロッコリー、モロヘイヤ、ほうれん草)、豆類(納豆)、いも類(さといも、こんにゃく)、海藻・きのこ類、果物 |
オリゴ糖 | 野菜類(玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス)、果物(バナナ)、豆類(大豆) |
シンバイオティクスの組み合わせ例
身体に良い善玉菌を含むもの(プロバイオティクス)と、その善玉菌の栄養源となるもの(プレバイオティクス)を合わせて摂る、シンバイオティクスの組み合わせ例です。
ヨーグルトとバナナ、納豆とおくらなど、既に食卓でおなじみの食材から取り入れてみましょう。
プロバイオティクス | プレバイオティクス |
---|---|
ヨーグルト | バナナ・りんご |
チーズ | ブロッコリー |
キムチ・納豆 | おくら、海藻・きのこ |
みそ・酒かす | ゴボウ、ニンジン、玉ねぎ・さといも |
管理栄養士が考案!シンバイオティクスのかんたんレシピ
当院の管理栄養士が考案したレシピをご紹介します。腸内環境を整えるシンバイオティクスで健やかな毎日を送りましょう。
しっとりバナナヨーグルトケーキ
いろいろなフルーツを混ぜて華やかにしても。フライパンで丸く焼くのもよいですね。
- 材料
- ホットケーキミックス1カップ、バナナ1本、卵1個、砂糖大さじ3、無糖ヨーグルト大さじ7、サラダ油大さじ3(目安分量)
- 作り方
- バナナはフォークで崩して材料を全て混ぜ、クッキングシートを敷いた型に入れて180℃(予熱済)で30分焼く。こげないように見て、竹串を指して生っぽい生地がつかなければ完成!
ブロッコリーのカリカリチーズ焼き
マヨネーズに粒マスタードを足したり、ツナを混ぜてもおいしい!
- 材料
- ブロッコリー、マヨネーズ、とけるチーズ、パン粉少々
- 作り方
- 小房に切ってゆでたブロッコリーにマヨネーズをかけ、チーズをのせてパン粉を振る。オーブンで表面を焼く。
酒粕入りけんちん汁
アレンジの可能性は無限大∞!豚肉・鶏肉・サケ・タラなど動物性たんぱく質を足して、具沢山な1品にも。
酒粕で免疫力UP、美容や健康によいといわれています。
- 材料
- 人参、里芋、ごぼう、しいたけ、味噌、酒粕
- 作り方
- 野菜をいちょう切りや輪切りにし、だし汁で煮る。酒粕を加え、味噌で味をつける。
海藻ねばねばキムチ
味付けはキムチだけでOK!
- 材料
- キムチ、オクラ、納豆、わかめ
- 作り方
- オクラは輪切りに、わかめはざく切りにし、納豆とキムチで和える。
シンバイオティクスのかんたんレシピで腸内フローラを整えましょう!
監修 総合東京病院 栄養管理科 |
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