目薬のおはなし
患者さんのためのQ&A
6月に入り次第に雨の日も多くなってきました。梅雨に入るこの時期は、花粉症の人も症状が軽くなってきたのではないでしょうか。
でも、イネ科の花粉にアレルギーがある人はこれからが本番になると思われます。調べてみると、ほぼ一年中アレルギーの原因となる何らかの花粉が飛んでいるようです。前回のコラムではアレルギー治療薬の「眠気」に関する話題でしたが、今回は花粉症の人で使っている人も多いと思われる「目薬」についてお話ししたいと思います。
目薬の起源とは
Wikipediaによると、目薬の起源は「古代エジプト時代、目やにに虫が付かないよう目に薬を塗っていたのが始まり」と記載されています。
日本では室町時代に、その原型となる「霊薬 善光寺 雲切目薬」が作られていたようです。明治になると現在の参天製薬から「大学目薬」が発売され、その後現在のロート製薬が清潔に目薬をつけることができる点眼瓶を開発しています。目薬の2大製薬会社は100年以上前から目薬を販売していたのですね。
目薬に関する言葉
次に、目薬に関する言葉について考えてみましょう。「目薬」はいわゆる通称で、正式には「点眼剤」と言います。
「目薬をさす」の正式な言葉は「点眼する」になるのですが、なぜ目薬は「さす」なのでしょうか。漢字で書くと、元々は「注す」や「点す」だったようです。でも、常用漢字で使われていないため、現在はひらがな表記か「差す」が一般的になっています。
正しい目薬のさし方とは
さて、皆さん、目薬をさすのは得意ですか?誰にも教わらないで自己流という人も多いかも知れません。2階から目薬という言葉がありますが、普通にさそうと思っても目に入らない時があるのに、2階からなんて絶対無理ですよね。目薬をさすのは案外難しいのです。
街中で目薬をさしている若者を時々見かけますが、薬剤師の私からすると正しく目薬を使っている人はほとんどいません。正しい使い方の詳細は参天製薬やロート製薬のホームページを参照していただくのがいいと思いますが、これだけは書いておきます。
目薬をさす時に瓶の先を目にあまり近付け過ぎないようにしましょう。
目薬をさす時に目と瓶の間が液体でつながる状態になると、涙液が瓶の中に逆流して薬液が不潔になってしまうことがあるのです。このような意味では、「2階から目薬」は案外正しいやり方なのかも知れません。
監修 総合東京病院 薬剤科長 |
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