薬のプラセボ効果とは?
~薬のプラセボ効果~
患者さんのためのQ&A
皆さん、「プラセボ効果」という言葉をご存知ですか・・・?
プラセボとは薬学的に何の効果も有さない偽薬(ぎやく)を意味します。効果がないのに「プラセボ効果」と呼ばれているのは、なんだか矛盾しているように感じますが、薬を使用するうえでこの効果は非常に大きな意味を持っています。
今回はプラセボ効果の必要性とプラセボが身体に与える不思議な影響についてご紹介したいと思います。
人の認知能力はとても複雑で、プラセボと知らずに服用すると、人は“飲んだ”という行為により無意識に効果が生じるものと思い込みます。そうすると、実際には有効成分は入っていないはずなのに、身体が反応して効果が発現してしまうことがあります。これが「プラセボ効果」です。
臨床試験でプラセボ効果を利用する理由
偽薬であるプラセボは製薬会社などが行う“臨床試験”で使用されます。
臨床試験は新しい医薬品を開発し、厚生労働省に認可してもらう時に、その効果や安全性などを確認するために実際の患者さんに使用してもらう試験です。この試験の結果は患者さんの生命にも関わるものなので、非常に厳重に取り扱われます。
臨床試験では効果や安全性を正確に判断するために、新薬を使用する患者さんと使用しない患者さんのデータを比較します。ここで新薬を使用しない患者さんはプラセボを服用してもらうことになります。プラセボを使用することで、プラセボ効果を差し引くことができます。
プラセボが身体に与える効果
このプラセボ効果は案外馬鹿にできません。
臨床試験では5~30%程度(筆者の感覚的な数値です)の患者さんにプラセボ効果が確認されることがあります。つまり、本物のお薬を使用していないにも関わらず、ある程度の人には効果が発現してしまうということになります。
また、プラセボによって有害作用が現れることを「ノセボ効果」と呼び、こちらも実際に良く起こることが知られています。つまり、プラセボ効果は望む効果だけではなく、有害作用という形でも現れることがあるということです。
普段薬を飲む時~信じるものは救われる!?
このようにプラセボ効果は医薬品の作用や安全性を見極める臨床試験において、しっかりと把握しておく必要があります。
しかし、ここまで読んでいただくと、一般の患者さんにあまり関係ないことのように思われるかもしれません。でも、実はすごく関係があると私は思っています。それは「こんな薬が効くわけない」とか「この薬を飲むと副作用が起こるんじゃないか...」というように思いこんで飲んでしまうと、プラセボ効果が薄れたり、ノセボ効果による有害作用が現れたりしてしまう可能性があります。
医師から処方してもらうお薬は、決して安いものではありません。通常は保険により患者さんの負担は1~3割しかないのでありがたみも薄れてしまいがちですが、1錠が100円を超す薬も多くあります。
せっかく使用するのであれば、よく効いて副作用が出ないことが一番なので自分自身に「この薬は効くんだ」「自分には副作用は出ない」と暗示をかけて服用してみてはいかがでしょうか。信ずるものは救われるかもしれません。信じるか信じないかはあなた次第です!
監修 総合東京病院 |
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