くすりと食べ物の相性診断
~意外と知らない⁉くすりの話 第3回~
患者さんのためのQ&A
皆さんがお薬を薬局でもらうとき、または買ったとき薬剤師からお薬の副作用について一度は説明を受けたことがあると思います。
副作用とは、お薬本来の作用ではなく、目的以外の好ましくない作用のことを指します。お薬の飲み方が間違っていたり、毎日何気なく口にしている食事や飲み物との組み合わせによってお薬の効果に影響を及ぼしたり、副作用が現れやすくなったりします。今回は、お薬と食事の飲み合わせについて解説したいと思います。
Case1. グレープフルーツジュース×高血圧の薬(カルシウム拮抗薬)
グレープフルーツに含まれるフラノクマリンという成分が、お薬を分解する酵素の働きを邪魔することにより高血圧や心臓病、脂質異常症などの一部の薬の作用を強めてしまいます。薬の効きすぎにより血圧が下がりすぎたり、頭痛やめまいを引き起こしたりすることがあります。
このようなケースでは内服と同時に摂取しなければ問題ないこともありますが、薬局でもらうお薬説明書にグレープフルーツジュースの記載がある場合は、時間をずらしても無効であることが知られています。どうしても摂取したい時には医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
Case2. 青汁×抗血栓薬(ワルファリン)
青汁は生の緑葉色野菜を絞った飲料であるため多量のビタミンやミネラルが含まれています。その中でもビタミンKは代表的な抗血栓薬であるワルファリンの働きを弱めてしまうため相性がよくありません。ワルファリンが血液凝固作用に関わるビタミンKの働きを邪魔することで抗血栓作用を示すため、過剰にビタミンKを摂取するとワルファリンの作用が弱まってしまうのです。
青汁のほかにもクロレラや納豆にもビタミンKが多く含まれているので、ワルファリンを服用中は控える必要があります。ビタミンKは他の緑黄色野菜にも含まれていますが、摂取をしてはいけないということではなく、食べ過ぎに注意していれば問題ありません。
Case3. 牛乳×抗生物質
牛乳にはカルシウムが豊富に含まれており、一部の抗生物質と一緒に飲むと、カルシウムが抗生物質とくっついて離れなくなります(この状態をキレートといいます)。キレートになったお薬は体内に吸収されなくなり、効き目を悪くしてしまいます。
骨粗しょう症の薬もカルシウムとくっつきやすいお薬がありますので、牛乳と一緒に内服しないようにしましょう。
牛乳のほかに硬度の高いミネラルウォーターもカルシウムやマグネシウムといったミネラルを多く含有しており、キレートを作ってお薬の効き目を悪くすることがありますので注意しましょう。
Case4. アルコール×かぜ薬
アルコールは頭の働きを抑える作用があるため、飲酒すると眠くなります。一方、かぜ薬の中にも脳の働きを抑える成分を配合しているものがあります。
これらを同時に摂取してしまうと脳の働きが過度に抑制されてしまい、だるさ、眠気、意識混濁といった症状が現れることがあるのでお酒と一緒に飲んではいけません。
他にも、睡眠薬はもちろん花粉症の薬なども眠気を引き起こすため、アルコールとは相性が悪いお薬になります。
自分の飲んでいる薬に対する正しい知識を
このように食事が薬に影響を及ぼす例はまだまだあります。
しかしながら、組み合わせの悪い食品をすべて避けてしまうと、偏った食事になってしまいます。なによりせっかくの食事は美味しく楽しく食べたいですよね。そのため自分の飲んでいるお薬について正しい知識を持つことはとても大切です。
保険薬局やドラッグストアでお薬をもらうとき、買い物をするときに気軽に薬剤師に相談してみてください。
監修 総合東京病院 |
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