公開日:2020年7月25日 |最終更新日: |カテゴリ:放射線治療コラム, 腎がん

原文:Stereotactic ablative body radiotherapy for inoperable primary kidney cancer: a prospective clinical trial. British Journal of Urology International, 2017

腎がん(腎細胞がん)の治療の標準的な治療は手術ですが、手術が困難な場合もあります。凍結療法などもありますが、最近では定位放射線治療が保険適応になりました。

これまで腎癌には放射線治療は効果が少ない、と信じられてきましたが、回数を少なくして1回に投与する線量を増やすことで効果があることが、わかってきました。この論文で紹介されている前向き研究(厳密に調査するために先に患者さんを登録してから決まった治療を行う方法)では、33名の患者さん(1名は両側の腎)を1回または3回で治療して、2年間で局所再発のない方は100%、遠隔転移のない方は 89%、全生存率は 92%と良好な成績です。

まだ新しい治療ですが、腎機能をほぼ温存できる利点があります。入院を要するような副作用は3%程度と少ないことがわかっています。限局していても手術ができない方には、選択肢の一つになります。

下の図左の実線は全生存率、右は遠隔転移進行のない率です。


腎がん生存率グラフ

監修

総合東京病院 放射線治療センター
国枝 悦夫

国枝悦夫医師

放射線治療センター 放射線治療セカンドオピニオン外来